GAFA next stageを読んで 第五章

最終章の第五章では資本主義の特徴をリストアップし、アメリカにおける資本主義の功罪を指摘しています。

資本主義の良い点は

・生産性を高めること

資本主義は私たちを互いに競わせることで。多くの選択肢と機会を生み出し、高い生産性を生み出します。

・優秀な人材を集めること

スコット・ギャロウェイは父と母がスコットランドからの移民であることから話を始め、自身の才能がアメリカで花開いたことを語ります。

・協力を促すこと

スコット・ギャロウェイはイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの著者『サピエンス全史』のフレーズ「見知らぬ他人と協力できたことがサピエンスが世界を支配している理由』を引用して、資本主義が協力を促したことをここで述べています。

資本主義の悪い点は

・外部性の問題

外部性とは当事者がコストを負担しないことです。公害はその典型的な外部性の問題です。

・不平等

200年前、アメリカは黒人奴隷の労働の上に成り立っていました。現在でも、黒人家庭は平均すると白人家庭の10分の1の富しか所有していないというデータを引用しています。

スコット・ギャロウェイは、これら資本主義の問題を解決するのがアメリカ政府の役割であり、コロナ禍はまさにアメリカで資本主義と政府の力の均衡が試練にさらされたがアメリカは無惨な挫折を味わったと語ります。

そして。今のアメリカの状況は以下の通りであると言います。

資本主義(社会の階段を上がる場合) + 社会主義(社会の階段を降りる場合) = 縁故主義

言い換えると現代のアメリカは資本主義と社会主義の「悪いところ」のハイブリッドとなっていると説明します。

アメリカは危機が訪れた時、Too big to fallと言って政府の資金を注ぎ混みましたが、それは貧困層へは渡らず、大企業の株主や高額の給料を受け取る幹部を助けました。このようなことを社会主義の「悪いところ」と表現しています。

第五章で、アメリカの今の問題を示す具体例としてディズニーランドが引用されています。これは大学でも類似のことがあると書かれていますが興味深い引用なので、ここでご紹介します。

昔はみんなディズニーランドのチケットブックにお金持ちも貧乏な人々も9ドル50セントを支払って同じラインに並びました。平等でした。

しかし、今ではお金持ちは170ドル払えばファストパスを買って「カリブの海賊」に僅か10分で入れます。

又、超リッチな上位1%の人々は5,000ドルを支払って、ツアーガイドがつき、特別なダイニングルームでディズニーキャラクターのコスチュームをきたスタッフが給仕をしてくれてバックステージにも入れます。

しかし、お金のない人は119ドルを支払い1時間待つことになります。格差社会の縮図です。

第5章の後半ではGAFA+Xが権力を政府が抑制すべきと主張しています。

2017年にスコット・ギャロウェイが書いた『GAFA』ではGAFA各社の詳細な説明と将来のGAFA候補の紹介がされていましたが、本書ではコロナ禍で更に強大となったGAFAの実体から語り始め、アメリカにおける資本主義の問題点を浮き彫りにしています。

『GAFA』以上に読みごたえのある大変興味深い内容でした。是非、ご一読をお勧めします。

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