担ぐ神輿は軽いほうがよい 

担ぐ神輿は軽いほうがよい 

この日本語を英語に直訳するとIt’s better if the mokoshi (portable shrine ) is light to carry.ですが

日本の政治的比喩を考慮した自然な英語表現にすると

It’s easier to carry a lightweight leader.

A leader who doesn’t think for himself is easier to control.

これは日本の政治の世界で使われる表現ですが、ところで西欧の文化でもこれと同じ文化はあるでしょうか?

答えはYESです。

この考え方「頭の切れる独立したリーダーよりも、自分で考えない従順な人物を担ぎ上げて操るほうが都合がよい」という発想は、日本独自というよりも政治の世界では普遍的に存在します。

英語では、次のような表現があります。

puppet leader(操り人形のリーダー)

figurehead (名目上のトップで実権のない人)

puppetに類似したフランス語由来の英語でmarionette (操り人形) も使われます。

ところで、puppetとmarionetteはどう違うでしょうか?

puppet, marionette どちらも日本語に訳すと同じ「操り人形」ですが、その違いはpuppetは指で動かす操り人形ですが、marionetteは人形を糸でつるして上から操る操り人形です。

歴史的にも、王政時代の「傀儡王」や、企業や政党内の「お飾りのトップ」はたびたび登場します。

イギリスやフランスの政治史でも、影響力の強い顧問や派閥が「表のリーダー」を 立てて、自らは裏から実権を握るケースがありました。

日本的な表現の特徴は「神輿」という文化的モチーフを用いている点です。

神輿は中身がなくても外見が立派なら担ぎ手が盛り立てる、という特性があり、それがそのまま「中身のないが軽くて扱いやすいリーダー」に結びつきました。

英語では「宗教的祭礼に担がれる神輿」を比喩に使うことはなく、代わりに「人形」「操り糸」「お飾り」といったモチーフが使われるのが一般的です。

puppet leader, figureheadを使った例文をご紹介します。政治の場面とビジネスの場面での例文をそれぞれ1つご紹介します。

puppet leader

Many critics argue that he is nothing more than a puppet leader, controlled by powerful business interests behind the scenes.
「多くの批評家は彼が裏で強力な企業勢力に操られている単なる傀儡リーダーにすぎないと主張している」

The party installed a puppet leader so that the real decisions could be made by senior advisors.
「党は実際の決定を上層部の顧問が行えるように、傀儡のリーダーを据えた」

figurehead

Although she holds the title of CEO, she is largely a figurehead; the real authority lies with the board of directors.
「彼女はCEOの肩書きを持っているが、実質的にはお飾りにすぎず、実権は取締役会にある」

The king remained a respected figurehead, while the prime minister exercised actual power.
「国王は尊敬される象徴的存在にとどまり、実際の権力は首相が握っていた」

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